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子どもの本棚絵本レビュー

ぴーぴーばっくしまーす

2023.11.05

片山 健(作) 福音館書店 定価800円(税別)

 毎週、生後二か月ちょっとの赤ちゃんに出会う機会が続いています。赤ちゃんは、抱っこしてくれているお母さんに対して、唇を使って、積極的にコミュニケーションを図ろうとしている様子がなんとも愛らしく、眺めているのが至福の時間です。

 正高信男氏によると、赤ちゃんのくちびるは『心の窓』で、ことばとしての発語までにはしばらく時間がかかるものの、生後二か月の赤ちゃんは、既に意図的にコミュニケーションを図ろうという意図が芽生えているようです。大人の認識とはかけ離れた赤ちゃんの住んでいる世界では、ヒトから人間への成長が日々進んでいるということですね。

 今回紹介する絵本は、片山 健さんの作品です。「ぴっぴーばっくしまーす」という言葉の響きは、ことばに出合って間もない幼子の心に響き、声にすーっと出てきます。シンプルな言葉との出会いから、どんどん言葉の引き出しが増えてゆきますね。