
アンジュール
2021.09.21
作 ガブリエル・バンサン BL出版 定価:1,300円(税別)
ある日、犬は野の道を疾走する車の窓から投げ捨てられる。突然野良犬になった犬のその日の長いさすらいをたどって描く。
犬は、車を求めて走り、諦め、野から浜辺へ、汀から道へ、地を喘ぎながら歩き、佇み、はっとして頭を上げ、空に吠える。
近景から遠く小さく立つ犬へと画面を移し、向こうむきは途方にくれ、エンピツで打った点だけの犬でさえ、悲しみをこぼし振り向く。
犬はこちらへ訴えかけ、その彷徨を辿る人のうち深いものをかきたてる。
やがて、犬はひとりぼっちの子どもと出会う。ぼっと胸に灯がともったように温まる。