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子どもの本棚絵本レビュー

きりのなかのはりねずみ

2021.09.30

作 ノルシュティンとゴズロフ  絵 ヤールブソワ 訳 こじまひろこ

福音館書店 定価:1,300円(税別)

 ダークブルーとダークグリーンを基調にした霧の夜の草むらにはりねずみが佇んでいる。道に迷ったのだろうか。肥大手に赤い野いちご模様の入った白いハンカチに何かを包んで、大事そうにもっている。後ろ姿なので、顔は見えないが、幻のような白い馬に見とれている。ハンカチの中身は、仲良しのこぐまに届ける野いちごのハチミツ煮なのだ。

 こぐまの家に行く道すがら、幻想的な白い馬の姿をいる。へんな大きなみみずくに会ったり、ハンカチの包みを置き忘れたりするが、包みは犬が見つけて届けてくれる。

 はりねずみは、さらに進むうちに足元を見誤って、川に落ちてしまう。それでも包みを濡らさないように仰向けに体を浮かべてお腹の上にしっかりと支えている。不思議な大きな魚が現れて、はりねずみを岸まで運んでくれる。  やっとこぐまの家にたどり着くと、野いちごのハチミツ煮を渡す。そして、はりねずみはこぐまと一緒に外の丸太に座って星の数を数えるのだ。