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正司先生の
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お父さん、出番ですよ

2022.06.15

 四歳の裕くんは、口が重く、動きが鈍く、よく言えばおっとりしているので、幼稚園でお友達と遊べず、先生からそれとなく注意を受けていました。

 私共のお教室でも同様です。やる気がなくダラダラとしています。生まれたときから体が弱かったので知らず知らずのうちに過保護になってしまっていたからでしょう。でも、このままでは、こまったことになるので、お母さんに「ひとつでもいいから自分で出来ることを決めてやらせたり、簡単なお手伝いを頼んだり、外遊びをと勧めてきたのですがなかなか一歩とふみだせずにいられませんでした。

 しかし、幼稚園の先生から度重なる注意を受け、これまで子育てはお母さんに任せて殆ど育児に参加してこなかったお父さんが裕くんと遊んでくれることになりました。休みの日になるとお弁当を持って二人で虫取りに行ったり、もともとお父さんが好きだった魚釣りにつれていってくれるようになりました。裕くんはこれがとても気に入りました。お父さんも予想外に楽しかったようで休日ごとに二人で出掛けるようになりました。

 すると、裕くんはみるみるうちに活発になり、人前ではなせなかったのに良く喋るようになり、幼稚園で友達と遊べるしっかりとした男の子になってきました。いつもお母さんがしていた幼稚園への自動車での送迎も、一人で電車通園が出きるようになりました。そんなある日、裕くんにとって大事件が起こりました、

 幼稚園に行くとき、満員電車から降りられず、一駅乗り過ごしてしまったのです。その駅は他の電車も乗り入れているので、ごった返ししている駅です。以前の彼なら泣くこともできず、誰かに気づかれるまで、恐怖で立ちすくんでいたのでしょうが、何と彼は知らないおばさんに幼稚園の駅名を言って「どうしたら行けますか」と聞き、無事幼稚園に着いたのです。この話を聞いて、皆、裕くんの成長ぶりにびっくり、関心してしまいました。

 以前の裕くんからは考えられないことですが、これはお父さんが育児に参加された成果です。この経験で、かれはまた一まわり大きくなり、自信をつけました。