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正司先生の
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ただいま

2022.06.08

 いつもと同じ元気な有希ちゃんの声を聞いて朝から不安と心配でいても立ってもいられなかったお母さんは、いっぺんに緊張がとれほっとしました。

 ことの起こりは有希ちゃんを車で幼稚園へ送り帰ってきたら玄関に持っていったはずのお弁当が置き忘れてあったのです。直ぐに届けようと思ったのですが、忘れ物は絶対に届けないという約束をしていたので迷いに迷って思い止まりました。でも有希ちゃんがどうしているかと思うと心配で落ち着いて仕事も出来ず有希ちゃんの帰りを待っていたのです。

 有希ちゃんはそんなお母さんの思いを他所にみんながいろんなおかずをくれたんだよ。先生もお弁当わけてくれたんだよ。おはしは半分に折ってちっちゃなおはしで食べたんだよ」とお弁当の時間のたのしかったことをしゃべくりまくっています。お母さんんは拍子抜けしてしまいました。同時にこんなにたくましくなっていたのかと我が子の成長ぶりにうれしさで胸がいっぱいになりました。

 ここまで来る道のりは遠い道のりだったのです。結婚7年目に恵まれた子どもだったのでついつい甘やかし幼稚園に行く頃には典型的な過保護の子どもになっていました。

朝の支度は大変です。いくら言ってもだらだらとしているので、結局怒りながらながら御飯を食べさせ洋服を着せ持ち物の用意をして靴まではかせて車で送るというパターンが続いていました。

 しかし、これではいけない何とかしなければと相談に来られたのです。

 そこで幼稚園におくれてもいいから出来ることから一つずつ有希ちゃんにしてもらおうと提案しました。お母さんが本気になれば必ず有希ちゃんも応えてくれると話し結果はお母さんの忍耐心次第ですと言っておきました。お母さんはすぐ実行にうつされました。翌朝有希ちゃんに「お母さんは車の中で待ってるから一人で靴はいて出てきてね」と言うとおもしろそうと思ったのか「うん」と言いましたがぐずぐずしてなかなかでてきません。お母さんは車の中で新聞を読もうと思って持っていかれてたのですが、このまま待ってても有希ちゃんが出てくるのかどうかわからないし、呼びに行こうかもう一寸待ったほうがいいのかとあれあこれ思いながら新聞をみていたので何を読んでいたのかわからなかったそうです。しかし、あれこれ考えて待っているうちにこれは子どもの問題でなく自分の問題かもしれないと気付かれたのです。えらいお母さんです。

 長いこと待ちましたが、有希ちゃんは一人で靴をはいて出てきました。これに慣れると次は玄関に用意してある持ち物を持って出てくる。洋服を一人で着る。と出来ることをふやしていきました。そして半年間、有希ちゃんは一人で朝の用意が出来るようになりました。お母さんよく頑張られましたね。すばらしいお母さんです。