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正司先生の
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子どもの好きにつきあえますか

2022.02.02

 私の教室で、年長の子ども達に、カエルとおたまじゃくし・トンボとヤゴ・にわとりとひよこなど、親子関係にある生き物の絵を線で結ぶプリントをやらせた時のことです。その中に蚊とボウフラの絵ものっていたのですが、ボウフラの絵が実物とかけ離れていました。子ども達に聞くと全員、ボウフラをみたことがないというので、水中でぐるぐると動き回る黒いちっちゃな実物をみせてあげたくて、「バケツに水を入れて外においといたら1週間ぐらいでボウフラが湧いてくるよ」と言いました。子ども達は「湧いてくる」ということに興味をもったらしく「ヤル、ヤル」「ヤルヤル」といって、おおはしゃぎになりました。
 その時、一人のお母さんが「汚いからダメ」と大声をあげられました。一瞬シーンとなりました。次の瞬間、子ども達が一斉に「キタナイ」「キタナイ」と大合唱をはじめたのです。なんとかこの場を収めなければと思っているとき、別の子どものお母さんが「家に帰ったら図鑑を見せてあげる」と大きな声で言われたので、その場は収まりましたが、ボウフラの実験は消えてしまいました。

 我が子が、好奇心いっぱいの、意欲的な子どもに育ってほしいと、どのおかあさんも望んでおられることでしょう。しかし、現実は、子どもが興味を持ったものでも、お母さんが汚いと思うことは、子どもによくないということで、子どもの好奇心・やる気の芽を摘み取ってしまっているのですが、そのことに気がついているお母さんは、殆どありません。

 この文は、子どもの好奇心の芽を、摘まないようにしようという立場で書いていますが、賛否両論あるかもしれません。

 例え子どもが興味を持ったものでも「不潔なボウフラを沸かす実験なんてとんでもない」と、不潔なことをしてはいけないと教えるのが、子どものためと思っておられるお母さんがいらっしゃる一方で、ボウフラはよくないけれど、子どもの好奇心を実体験で応えてあげようという考えをもたれるお母さんもおられます。

 お読みになったあなたは、どちら派ですか?