トップ > 正司昌子先生のメッセージ

正司先生の
メッセージ

プロフィールをみる

ブログへの感想メッセージ

2020.09.12

 今回、ブログへの感想メッセージを下さったのは、当教室の生徒のお母さんですが、現役の小学校の先生でもあります。ブログを読まれて、小学校入学時の子どもたちの現状、日頃の思いを寄せてくださいました。

 突然ですが、「学力の差」がうまれるのはいつでしょう。
 一年生?二年生?中学年?はたまた高学年でしょうか。

 わたしは教師として小学校で働いています。新任から、比較的上の学年を担任してきたのですが、いつも悩まされていたのは、一人ひとりの「学力の差」でした。
それぞれの学習能力の差があまりにも大きく、しんどい子にいたっては、その学年ではない今までの学習でつまずいていることがほとんどでした。
『こんなん□年生の話やん。』『もっと時間があれば・・。』ため息をつきながら、その大きすぎる学力の差を埋めてあげられないことに、いつも歯がゆい思いをしてきました。

 例えば、よくあるのが、立式はできてもその計算ができないというものです。単純なミス、計算の仕方から間違えているものなど様々ですが、とにかくそれを丁寧に直し、前の学年に立ち返りながら、できるようにしてあげるまでの時間はなかなかありません。低学年の時からきっちりと学習が積み上がっていれば・・いつもそう思っていました。

 そんな私が、新任から四年目にしてはじめて一年生を受け持ちました。
何もかも今日からスタート!『ここでつまずくことがないよう、丁寧に教えてあげたい!』そんな希望をもって、教壇に立ちました。

 全体を見渡して、「筆箱を出しましょう。」この一言を口にしたあとの光景は、今でも目に焼き付いています。言われた瞬間、さっと机の中から筆箱をだす子(『先生、次は何するの?』とその目はキラキラと輝いています。)、数秒後、ゆっくりと筆箱をだす子。何もせず、ぼーっとしている子・・。(その子は、机の前に行って、目を見ながらゆっくりと指示を出して、やっと筆箱を出すことができました。)

 そのとき思いました。
『あ、ここがスタートじゃない。』

 ちなみにこれはほんの一例で、この差は、その後の全ての学習、活動につながっていました。(たとえば算数の授業中、『2+3=5』を勉強しています。一、二秒で答えを出してしまう子と、これを計算するために、指を使いたいのだけれど、指で2が作れない子・・。)
低学年でうまれると思っていた学力の差は、生まれてきてからの育ち方、環境によって、一年生スタートの時点ですでに広がっていたのです。

 もちろん誕生月でも大きな差がある子どもたちですから、一人ひとり差があるのは当たり前です。が、個人差という一言で終わらせるには、あまりのも重すぎる現実を目の当たりにした瞬間でした。

 その後、縁あって学生時代にお世話になったレクタス教育研究所に娘を通わせることになり、その際、正司先生のご厚意で他の子のレッスンも見学させてもらいました。
とにかく目からうろこだったのは、『能力はつくられる』ということ。うまれたときから(胎内含め)お母さん、お父さん、まわりの人によって言葉をかけられ、様々なことを教えられ、経験をする中で能力がつくられていく、ということです。

 たくさん言葉をかけられ、語彙を増やしていく子と、そうではない子。興味をもったことをたくさん経験させてもらった子と、なんでも「だめ、無理。」と言われ育ってきた子。
大きな差がうまれていくのは当然のことだと思いました。

 今わたしは二人目(0才)の産休、育休中です。正司先生の『能力はつくられる』、その言葉を胸に、子育てに励んでいます。正司先生の言葉は魔法のようです。なんでもできる気がして、わくわくしながら子育てをしていく勇気をもらえます。

 お母さん、お父さん、家族みんなでその子の能力をつくり、伸ばしていくのです。
小学校にはいってからではありません。思うようにならず、精神的にも体力的にもしんどい育児ですが、『能力はつくられる』正司先生の言葉を思い出しながら、ともに育児を楽しみましょう。

 私たちが目にすることない、小学校入学時の子どもたちの現状や先生方の悩み、同時に子育てされているお母さんとしての思いなど、貴重なメッセージをありがとうございました。