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正司先生の
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やる気に火をつけて上げましょう

2022.03.02

智くんは、年令よりも幼く見える大人しい子どもです。動きが遅く、ことばも遅れ気味です。近所に子どもがいないので、同年代の子どもと遊んだことがありません。こんな智くんが幼稚園に入園しても皆についていけるかと、半年後に入園を控え、お母さんはとても心配しておられました。

 そこで、何か1つ皆が認めてくれるもので、智くんに自信をつけてあげたいなと思いました。智君は、はさみが好きで家でもよく紙を切って遊んでいると聞いていたので、もっと上達するように、いろいろ工夫していっぱい練習できるようにしました。その甲斐あって、智くんは、はさみを使うのがとても上手になりました。

 入園して、しばらくたったある日、工作の時間に先生が、「智くんは、はさみが上手だね」と皆の前で褒めてくれました。まだ、はさみが使えない子どもも沢山いたそうです。この一言で、智くんの自信の火がつきました。

 幼稚園が好きになり、家から10分程度の幼稚園も「ダッコ、ダッコ」といって大さわぎしていたのに、さっさと歩くようになり、お友達もできました。二語文もおぼつかなく、遅れていると心配されていたことばも、だんだんできるようになり、やる気も育ってきました。皆についていけるかと、あれ程心配していたのに、はさみの一件で幼稚園が大好きになりました。

 何をするのもおそくうまくできない子どもに、お母さんは歯がゆくできないことを何とか訓練してできるようにして上げようと苦手なことばかり熱心に教えがちですが、出来ないことばかりやらされていると、やる気を失い、かえって自信をなくします。

 それよりも何か1つでも得意なもの、好きなものを伸ばして上げることです。子どもは、好きなことはいくらでもするので直ぐに上手になります。どんな小さなことでも見逃さず、見つけたら褒めて上げてくださいね。褒められたら自信がつき、やる気が出てきます。

 やる気が出てきたら、少々不得意なものでも取り組めるようになり、出来るからやる⇒出来るからがんばる⇒褒められる⇒という循環になっていきます。

これでどの子も持っている力を発揮できるようになります。これは子どもも大人も一緒ですね。

 できることをもっと褒めてあげましょう。