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正司先生の
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スタートは生まれた時から

2020.08.03

 小学校の教師になって三年目に初めて一年生を受け持たれ、一年間の受け持ち期間を終えられた若い先生がレクタスの子どもたちのレッスンを見学に来られました。それまでに、3年生、2年生を受け持たれていましたが、一年生を受け持ってみて、小学校へ入学したての子ども達の予想以上の能力差に驚き、一年間その対応に苦慮し続けられたそうですが、満足いく授業が出来なかったと悩んでおられました。

 子ども達の能力差の原因は何だろう、その原因を探ろうと0歳児や幼児・就学前の子ども達の様子を見るため、レクタスへ来られたのです。一週間休まず見学された先生の感想は、生まれた時から小学校へ入学するまでの六年間に子ども達が普通の生活をする中で、身につくはずのごく普通の基本的能力を親や周りの人から付けてもらっているか、付けてもらっていないかということが、小学校入学時の能力差に繋がっていると思ったというものでした。

 その先生は、教師になる前もなってからも、小学校一年生が人生のスタートと思っていたけれど、スタートは、生まれた時から始まっているんですね。生まれた時から六年間、その年令で普通に身に付いている筈の能力が付いている子と付いていない子が小一という同じスタートラインに立っているんですねと考え込んでしまわれました。

 真面目なその先生は、小学校教師を止めて小一のスタートラインに着くまでの子ども達の教育に専念しようとまで言われました。我が子が生まれたとき、お父さんやお母さんは、誰でも我が子が元気でしっかりした子どもに育ってほしいと思われたはずです。それなのに、どうして普通に生活していれば特別なことをしなくても身に付くはずの能力が、身に付いていない子どもが出てくるのでしょう。

 どんな能力でも、身に付けるためには練習が入りますね。何もしないのに英語が喋れるなんでことはありませんものね。自由に喋るためには沢山練習をしなければなりません。練習が足りなければうまく使えないのです。その時、外国に住めば英語が上手に使えるようになります。英語を練習する機会・回数が増えたからです。

 今、フツーの生活の中でフツーの能力を身につけるための練習量が圧倒的に少なくなっている子どもが増えているのです。例えば、幼稚園に行く頃になっても走れない、ジャンプが出来ない、ボールが投げられないなど、その年で付いている筈の運動能力が付いていない子ども達です。能力がないわけではなく、練習不足で出来ないのです。

 何故、こんなことになってしまったのでしょう。一昔前までは、わざわざ練習しなくても普通に生活していれば、それが練習になっていたのです。今は、移動、家事まで機械化されているもの、全て自分の身体を使って生活をしていたのです。それが便利になり、自分の身体を使わなくてもできるようになり、それはより便利で快適の方に気を取られて、自分の身体を使わなくなったことの副作用に気づかなかったのです。身体を使わなくなった⇒練習不足⇒能力低下ということに早く気付き、この仕組みを説明し、対策を立てていればと残念ですが、そんなことは言っておられません。
 小学一年生を受け持たれる先生の悩みが消えるよう皆で知恵を絞りたいものです